ドロシーは被害者か?
1900年に出版されたオズの魔法使い
ライマン・フランク・ボームは、
書斎の書類ケースのO〜Zの文字を見て、
OZの魔法使いとタイトルを決めた
主人公の少女ドロシーは、
エム叔母さんとヘンリー叔父さん、
そこで働くハンク、愛犬トトと
アメリカ、カンザスの農場で暮らしていた
ある日、農場が、竜巻で吹き飛ばされ、
辿り着いたのは、オズの国
子供向け絵本では、物語は部分的に割愛され、こんな風に始まるものが多い
割愛されがちなストーリーは、こちら⇩
ある日、
菜園主ガルチさんの農場へ行くドロシー
ドロシーについてきた愛犬トトが、
ガルチさんの農場の畑を荒らし、
ガルチさんに噛みついたため
ガルチさんは怒りを露わにする
「エム叔母さん!大地主のガルチさんがトトを叩いたのよ!」
アリスは、
トトがガルチさんからいじめられたと、
泣きながら訴える
ドロシーは、
叔父さんと叔母さんに、
不満たっぷりに訴えたが、
二人は鶏の孵化器が壊れて、
ヒヨコを必死に救出しているところ
忙しい叔母さんは、
ドロシーに向かって言う
「あんたはどうでもいいことを大げさに心配してばかり。それより心配しないで済む場所を探しなさい」
「心配しないで済む場所」
という言葉が記憶に残り、
ドロシーは『オーバー・ザ・レインボー』を歌う
虹の向こうには
どんな夢もかなう素晴らしい国がある、
鳥が虹を越えているのだから
きっと自分にだってできる
という内容
そんな希望を持っていても、
ドロシーのいうことなんて
だれも聞いてくれない
そればかりか、
怒ったガルチさんが
トトを処分するとやって来た
ドロシーとトトは逃げるように
家出をする。
ところが
家出を見破った占い師のマーヴェルから、
「エム叔母さんが心配のあまり病気になっている」
と言われ、
ドロシーは家へ帰ることにする
帰ると、農場に大竜巻が襲来し、
ドロシーは家もろとも
空高く吹き飛ばされ、
ふわりと落ちたところが、
オズの魔法使いの国だった
と言う部分
ここで冷静に考えてみる
どうしてドロシーは、
家出をしなければならなくなったのか、
だれが問題を起こしたのか
サラッと読むと、
ガルチさんが弱いものイジメをする
意地悪な人に思える
しかし、
そもそも
トトがガルチさんに会わないようにすれば
何も問題は起こらなかった
ドロシーが
ガルチさんの農場へ行ったことが、
事の発端だ
ドロシーは、
自分がガルチさんの農場に行ったことからは目をそむける
心配ごとが起きたのは自分以外のせいだと
正義感と被害者意識は、
とても近い関係にある
被害者意識が強くなると、
加害者とみなす相手に対して怒りを覚え、
罰を与えたいと思うようになる
相手が自分を大切に扱ってくれないという
“被害者意識”
を感じているからだ
ところで、
冒険には何が必要だろう?
「望みの決断」
「ひらめき」
「感じる心」
「勇気」
これらは第一巻『オズの魔法使い』で
ドロシー(決断力)
かかし(ひらめき)
ブリキの木樵り(感じる心)
臆病ライオン(勇気)
に象徴されるものだ
ドロシーがまず最初にしたことは、
『自分の望みを決める』こと
これがなければ何も始まらない
では、家に帰る望みを完全に失い、
崖っぷちに立たったとき、
ドロシーは、
どうしたか?
「ドロシーは、かかし達に別れを告げ、ゆっくり目を閉じて、かかとを三回鳴らし、我が家ほどいい場所はないと心から感じます。
目を覚ますと、ドロシーは家のベッドの中にいました。」
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