木霊と霊魂

東日本大震災から8年経ったある日、

以前から見させてもらっている方から

連絡があった。


海で、

お父さんの骨の一部が見つかった。

家に近い場所で。

きっと、
遠くまで流されたんだろうが、
家に帰りたくて、
ここまで必死に戻って来たんだろうと。

「沖で車が見つかって、
諦めてはいたんですが、
いつか、
ひょっこり帰ってくるんしゃないかって
心のどこかで期待もしていて、

でもやっと、亡くなったと実感できます。」




長かったね....




「ただ、お母さんが、

やっと遺骨が見つかったのに、

お父さんの夢を毎日見るようになって、

お父さんが

何か言っているんだけど、

わからないって。


お父さん、何か言ってますか?」




そうか...

いっちょ、みてみますか。




白い花が見えた。

違う、

このような、庭に咲く花ではない。


鉢植えの盆栽だ。


小さな花びらで。


そのまま彼女に伝えた。




お父さんは、盆栽が趣味で、

沢山の盆栽の手入れをしていた。


震災後、残った盆栽のほとんどを

仮設住宅へもって行った。


家を建て直し、

仮設にいくつかの鉢を置いてきた。

その中に、

白い花を咲かせる、

梅の木の小さな盆栽があった。


立派な盆栽以外は、

「お好きな方は

自由にお持ち帰りください」

と、張り紙をして、
仮設住宅に置いてきた。

母は、あの鉢にちがいないと

すぐに見当がついた。
他と違って、
特に目立たない小さな盆栽だったから。

仮設住宅へ行き、

梅の木の盆栽を持ち帰った。





その夜から、

お父さんが夢に出ることは

なくなった。



彼女は、母親と共に
仮設住宅からの帰り道、
お父さんの行きつけの植木屋へ寄った。

植木屋さんの話によると、

お父さんは、白梅の盆栽を、
12月3日に買った。
その日は、結婚記念日。

お母さんには、それを言わないまま、
大事に育てていた。
昔気質の寡黙な人だ、
気恥ずかしくて言えなかったのだろう。


彼女の両親は、結婚前、
太宰府天満宮へ旅行に行った。


天満宮には、白梅の御神木がある。


白梅の種が、菅原道真公を慕い、
京から一夜にして太宰府に飛んできて、
立派に成長し花を咲かせ、
その木が、御神木となった。

その御神木に、
早く一緒になれるよう
二人で願掛けをしたという。

植木屋さんが、

『赤梅もあるよ?』
というと、
『白がいい。白だ。』
と言って、父は、白梅を買った。




『白梅のこと、すっかり忘れちゃってて、ごめんなさい。これからも、ずっと一緒ですからね。』


そう言って母は、
白梅の小さな鉢を抱きしめながら泣いた。


そんな話をしながら、
彼女の目からもまた涙がこぼれた。




木には精霊が宿る。


植物だけではない、


火、水、地、風


もそうだ。


精霊は肉体をもたない。
霊魂と同じだ。

霊魂は、精霊の助けを借りて
この世に残した大切な人に、
そばにいるよ、と、
メッセージを伝える。


木や、風になって。






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いっちょ、みてみますか

慧眼(けいがん)、炯眼(けいがん)、達眼(たつがん) 目ではなく眼で見る いっちょ、見てみますか。 今後、ブログ記事は、希望される方のみに配信いたします。

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